【介護施設には、洗濯機や衣類乾燥機、掃除機等、さまざまな器材や備品がある。それらを、まるで親の仇の如く乱暴に扱う輩が後を絶たぬ。嘆かわしい。 もろみ五郎】
職員A「ああいうの、器材って呼ぶのかねえ」
職員B「機械でいいんじゃないですか」
もろみ五郎「それこそ枝葉末節の議論である。さっさと核心に入り給え」
職員A「なるほどね。誰も読んでないサイトだから気にするな、ってことか」
職員B「じゃあ、核心に触れていきますか。まあ、ぼくが感じるのは、洗濯機ですねえ。こんな使い方してれば、じきに壊れるなあ、っていつも思いますね」
職員A「うん、確かに。タオル2,3枚くらいの少量でも、平気でがんがん回してるもんな。手洗いしてると時間かかるからって思ってるんだろうけど」
職員B「その逆で、異常に詰め込む輩もいますよねえ。うわあ、そんなことしたら壊れちゃう、ってひやひやしてますよ、いつも」
職員A「私のところは回転式の衣類乾燥機を使ってるんだが、ほこりのたまったフィルターもろくに取り替えず、目詰まりしたまま繰り返し使ってるんだよな」
職員B「そのくせ、これ乾くの遅いなあ、って文句言うんでしょ。ぼくのところは浴室乾燥機なんですけど、延々と何時間も連続使用してたもんだから、とうとう壊れましたよ」
職員A「じゃ、衣類どうしてるんだ」
職員B「自然乾燥ですよ。それしか手がないですからねえ」
職員A「結局そうやって、自分たちの首を絞めてるんだよな」
職員B「包丁やハサミなどの刃物類もひどいですよねえ。グループホームで働いてたとき、刃がボロボロに欠けたの使ってましたよ」
職員A「冷蔵庫もそうだ。隙間もないくらいぎゅうぎゅう詰めして、ここの冷蔵庫、冷えるの遅いわあ、なんてしゃあしゃあと言いやがる」
職員B「コップや器のたぐいも、割れたって平気でしょ」
職員A「そうそう。水切りかごにバンバン投げ込むんだよな」
職員B「グループホームにいた頃ですね、ある既婚女性職員がね、食後の洗い物してたんです。ひと通り済んで、彼女がその場を離れたから、ああ終わったんだなと思って、厨房に入ったんですよね。そしたらびっくり。水切りかごを見たら、小鉢の上に大皿、丸皿の上に角皿っていうふうで、とにかく、大きさも形も無差別に放り込んであるんですよ」
職員A「まあ、おそらく自宅でもそうやってるんだろうなあ。今回の題とは少し違う話だったが、そういうの見ると悲しいよな」
職員B「まったくですよねえ。まあ、あれでも娘二人いるんですがね」
職員A「二人の娘がどんなおとなに育ってゆくか、時系列で追っかけてみたいものだな。まあ、一事が万事、とは言い切れない場合もたくさんあるからなあ、たかをくくったような言い方は避けたいがね」
職員B「まあ、とにかくですね、職場のものを大切にしろ、ってことは、声を大にして言いたいですね」
もろみ五郎「そういったことも、介護職員の原価意識の低さの表れとも言えるであろうな。浴室乾燥機を新しくしたら、いったいいくらかかるのか、まったく気にもしておらぬ」
職員A「それ以前に私は、とにかくモノを大事にしろと言いたいですよ。私たちは長い間、使い捨て生活に慣れ過ぎてきた。ここらで心を入れ替えないと、世界は破滅ですよ」
職員B「同感ですねえ」
もろみ五郎「すべてにおいて、高い意識を持ってほしいものである」
(了)
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