年に一度の<ストレスチェック>は、役に立つのか。

【おそらく多くの職場で、一年に一回、<ストレスチェック>なる書類が回ってくるであろう。職員の心の状態を測るもののようだが、あれで本当に救われた例があるのだろうか。少々疑問である。 もろみ五郎】

 

 

職員A「回答の結果をレーダーチャートか何かで表示して、最後に判定評価が出るんだよな、『A』とか『D』とか」

職員B「決まり切った行事みたいなものですからねえ、あれは。おおまかな目安にはなるかもしれないけど、活用されてるのかどうか、ぼくも疑問ですね」

職員A「そうなんだよな。五郎氏が一昨年に活用してみたそうなんだが」

もろみ五郎「いかにも。強い精神的重圧を受けている、専門家に相談することをおすすめします、という結果が出たのだ。あのとき在籍していた有料老人ホームは、休憩もまともに取れず、しかもいじわるな女性職員が多くて働きづらかったのだ」

職員B「電話相談か何かだったんですか」

もろみ五郎「うむ、最初はそのつもりだったのであるが、迷っているうちに定員いっぱいになってしまい、精神科医の面談を受けることになった。休日に本社まで足を運んだよ」

職員A「で、結果はどうだったんですか。がっかり、ですか」

もろみ五郎「まあ、言うまでもなかろう。確かに話は聞いてくれる。だが、それだけなのだ。専門的助言など一切無し。はあそうですか大変ですね、みたいな感じで適当にあいづちを打たれただけで、今後どうすればいいかも言われなかった。自分で考えろ、ということなのだろうな。 ”足労” とはよく言ったものよ。まさしく文字通りだった。帰りの電車では、空しい思いを抱えて揺られていたものだ」

職員B「ひどい話ですねえ」

もろみ五郎「他人を頼った私が馬鹿であった。もう人には頼らぬ」

職員A「おそらく、厚労省だかどこだか、中央官庁の指導をきっかけに始められた事業なんだろう。受注した法人は潤ったのかもしれんが、型通りの行事となっているのが実態なんだから、やり方を変えるべきだな」

職員B「同感ですねえ。若い女性から、五郎氏みたいな比較的高齢の男性に至るまで、相談者は幅広いんだから、回答者側もそれなりの体制をとっておくべきだと思いますね」

職員A「そうだよな。風通しのいい職場なんてまずないんだから、どこも不満が渦巻いているはずだよな。一年に一度くらいは、それを真剣に受け止める場をもうけたって、コスト高にはならんだろう」

職員B「どうなんですかねえ。ほら、人間ドックなんか担当してる医者って、バリバリの最前線から来てる人じゃないでしょ。言っちゃ悪いけど、なんかテキトーにやってる ”デモシカ医師” って感じがするじゃないですか。カウンセリングの場合も、引く手あまたの名医には声かけないんじゃないのかなあ」

もろみ五郎「そうかもしれぬ。あるいは多忙な医師が、息抜きの場として活用しているのかもな。まあ、あまりいい加減なことも言えぬが」

職員A「まあ、なんにしてもですね、介護現場は職員の頭数が足りなきゃ動かないんだから、もっと一人ひとりを大切にしていただきたいものですな」

職員B「おっしゃる通り」

もろみ五郎「御意」

(了)1285字

 

 

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です