プリンスが亡くなって10年めに思うこと。

【今日4月21日は、不世出のミュージシャン、プリンスの命日である。同じ年にデビッド・ボウイとピート・バーンズ(デッド・オア・アライブ)も亡くなったが、私もろみ五郎はプリンスがいちばん衝撃的であった。自身が設立したペイズリー・パーク・レーベルのスタジオ内で倒れたとのこと。薬物の過剰摂取が死因だった。その中性的な外見と意味深な歌詞の内容の故か、さまざまな意味で正当な評価を受け切らず天国へと旅立った人物であった。 ”アーティスト” という言葉が乱用される昨今ではあるが、彼こそは真の芸術家だったと言って過言ではあるまい。あらためて合掌したい。byもろみ五郎】

 

 

なぜ今プリンスなのか。まじめに考えてみた。

初老男A「まあ、享年57だから、今も健在なら高齢者だ。いちおう当サイトの主題にあてはまるからな。ちょうど命日ということもあるし、1980年前後に青春時代を過ごした五郎氏としては、ここらで取り上げたかったんだろう」

初老男B「五郎氏はいちばんショックだったと言ってますけど、ぼくはキース・エマーソンのほうが衝撃的でしたね」

初老男A「死因がなあ。しかも同じ年にグレッグ・レイクも後を追うようにくなっている。ELPがPだけになった、と思うと悲しかったな」

もろみ五郎「君たち、今日の主役はプリンスである」

初老男B「わかってますよ。でもねえ、彼らが他界した2016年って、モハメッド・アリと千代の富士もなんですよね。イーグルスのグレン・フライもでしょ。かつてのヒーローたちが次々と涅槃に旅立ってしまって、とても悲しい一年でした」

初老男A「そうなんだよなあ。みんなその全盛期を知ってるだけに、なおさら辛いよな。ただプリンスの場合、冒頭で五郎氏が言ってるように、正当な評価を受けてなかったという点で、君が名を挙げた方々とは違うと言わねばならん。いつだったか、『ローリング・ストーン』誌が選んだ<過小評価されている25人のギタリスト>の筆頭に名前が出た。とりわけ日本では、外見がやや似ているというだけで、マイケル・ジャクソンとどう違うのかなどと馬鹿なことを問う輩さえいる始末だ」

初老男B「確か、トラヴェリング・ウィルベリーズと共演してたと記憶してるんですが。ビートルズの『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』でギター弾いてた気がするんですけど。あれ、勘違いかな」

初老男A「どうだかな。あのバンドはスーパースターが寄り集まったユニットみたいなものだったが、正式メンバーの名にはなかったな。まあいい。とにかく彼のギターワークは抜群だった。ダイアーストレイツの大ヒット曲『マネー・フォー・ナッシング』の中に出てくる ”おかま野郎” はプリンスを揶揄したものだとも言われたが、同じギタリストとして、マーク・ノップラーは認めてたんじゃないのかなあ、プリンスのことを」

初老男B「ぼくもそう思うんですよ。詳しく調べればわかるのかもしれないけど、プリンスの奇抜な服装や意味深長な歌詞などに対して、

君、そんなので世間の耳目を引かなくても、君の実力なら正統派ミュージシャンとしてじゅうぶんやっていけるだろう。

…マーク・ノップラーはこう言いたかったんじゃないのかなあ」

もろみ五郎「嫌ってただけかもしれぬ」

初老男A「まあ、そうかもしれませんがね。とにかくプリンスは天才だった。すべてを一人でこなすマルチプレイヤーだったんだな。だが、こういう人物はえてして敵を作る。彼もその例にもれなかった」

初老男B「同感ですねえ。ちょっと違うんですけど、プロレスラーのブルーザー・ブロディもそんなタイプでしたよね。それで他のレスラーの反感を買って」

もろみ五郎「主役はプリンスである」

初老男B「わかってますって。ただぼくはですね、一匹狼的な人は敵も味方も多いって言いたいんですよ」

初老男A「敵とは言っても、犬猿の仲だったワーナーブラザーズとは和解してるんだし、精神的ストレスさえなければ、薬も適正に使用して、もっともっと活躍できただろうにな。残念だよ、本当に」

初老男B「ミック・ジャガーやジョニ・ミッチェルをはじめ、本物から認められてた人でしたね。自分の作品に対する責任感が強くて、海賊版の氾濫には困ってましたねえ」

初老男A「海賊版については、『ロッキング・オン』の2014年の記事に出ている。22の業者を訴えたとのことだね。かつてビートルズの海賊版で有名だった Yellow Dog というレーベルがあったが、あそこもプリンスのものを扱ってたのかな。君、知ってるか」

初老男B「いやあ、知らないですねえ。イエロードッグと言えば、エルトン・ジョンのDJM時代の音源を集めたCDを中古CD店で見つけたって、五郎氏が昔喜んでましたけど」

もろみ五郎「そう。CD3枚シリーズだった。最近になって公式盤に含まれるようになったのもあるが、いまだに未発表なままの音源も多数含まれている。実に貴重な、私の宝物である」

初老男A「五郎氏、今日の主役は」

もろみ五郎「わかっておる」

天才は若死にする、とは言わないが…

初老男B「プリンスは親がミュージシャンだってこともあって、幼いころから頭角を現してますよね。早熟の天才と言ってもいいくらい。こういう人をたくさんここに例として挙げれば、傾向か何かつかめますかねえ」

初老男A「どうだかね。そもそも天才ってのは少数派だからな。大衆に顕著な傾向から最も遠い人だろ。まあ、早世した有名人を集めれば共通点を見出せるのかもしれんが、そういう分析めいたことはやりたくないね。かつて天才ありき、でいいんじゃないのかな」

初老男B「同感ですねえ。例えば三島由紀夫さんなんて、天才の筆頭に挙げていいくらいでしょ。浅はかな分析は控えますけど、早熟の天才って、たぶん、まわりが馬鹿に見えるんじゃないのかなあって気がするんですよ。三島さんの場合はほとばしる愛国心の結果でしたけれど、プリンスって人も、自分の凄さを理解しない周囲の人々に愛想をつかしたのかもしれないですよね。それでつい、薬を増やしてしまって…」

初老男A「まあ、詳しい評伝などをひもとけば明らかになるのだろうが、何にせよ、超人的な才能に恵まれた人は孤独なんだろうなあ」

まとめ

初老男B「ううん、こんな話でまとめって言われてもねえ。まず、プリンスの生い立ちから死に至るまでのことは、Wikipedia他、いくつかのサイトで読めますから、そちらを検索していただきたいですね」

初老男A「そうだな。今は動画が多く出回ってる時代だから、彼のステージ上のパフォーマンスを堪能してほしいんだよな。できればCDも買って、一枚をじっくり聴いてみていただきたい。最近は何でも気に入った部分だけ観て聴いて満足ってな傾向があるようだが、音楽でも物語でも、初めから終わりまで通して味わうのだが正道というものだ。何度も繰り返し聴くことで、プリンスの何が凄いのか、きっとわかるはずなんだよ。(ああ、こんな素晴らしい音楽家が10年も前に亡くなってたなんて…)と思ってくれる人が増えてくれたら、当サイトとしてはうれしいよね」

もろみ五郎「いかにも。われらは天才とは程遠い凡人であるが、よいものを見分ける、聴き分ける感覚は磨いておきたいものだ。そういった意味でも、プリンスの数多い作品群に触れて、かくも才能豊かなる人物が今も健在なら…と思いを致す音楽ファンが一人でも増えてくれるならば、今日のこの記事も無駄ではなかったと言えるであろう」

(了)

3052字

 

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